期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
「返すよ。部屋も日常もすべて。
必ず返すから。
約束するから…だから
少しだけ僕のわがままを聞いてもらえないか…?」
懇願するように私の目を見つめた。
長いまつ毛に綺麗な瞳。
嫌だと言っても、今の私には帰る家もない。
「分かりました…」
そう言うしかなかなかった。
その後、車の中で一切の会話もなく着いたのは高級マンションだった。
「ここは…?」
「僕の家。」
地下駐車場に車を止めてマンションなのか疑ってしまうようなオシャレなロビーのエレベーターから、最上階まで一気に上がる。
こんなマンション、中に入ったことなんかない。
ってか、テレビでしか見たことがない。
「すごい所に住んでるんですね」
彼は何も答えずに、エレベーターを下りたまん前にあるドアにカードキーをさした。