期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
「こんなことまでする必要があるんですか?」
自分の所有物を見つけて、気持ちだけは安心した頃、革張りのソファーの上で、社長がいれてくれた温かいココアを飲みながら聞いてみた。
私服に着替えてあたしの隣に座った社長もココアを口にしながら頷いた。
「例えこの婚約が演技だとしても、完璧にしたいんだ。
少しの疑いももたせず、安心させて父を見送りたい。
それが僕のできる最初で最後の親孝行だと思ってるんだ。」
一般常識からかけ離れている社長だけど、容姿も常識外に良すぎる。
偽りでも、こんな人に結婚をしてくれと言われて同居できるなんてなったら、普通の女子なら鼻血もんだろう…。
それを考えたら私も少し常識から外れているのだろうか…。
うん。
いや、
絶対、私は普通だけど。