期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
よく分からん。
私にどうすれというのだ。
考えこんでる私に彼は言った。
「やっぱり新婚なら行ってらっしゃいのキスでしょ?」
キ
…キス⁈
キスって
Kiss?
接吻?
口と口を合わせるあれ?
まさかでしょ⁈
「あのっ…!私キスなんてしたことなくて!
ドラマとか漫画でしか見たことないしっ‼」
慌てふためく私に彼は声をあげて笑った。
「冗談に決まってるでしょ。
でも意外。
キスしたことなかったんだ。」
口元を隠しながら笑う彼に
私は恥ずかしさで真っ赤になりながら「早く仕事に行きなよ!」なんて相手の立場も忘れて怒鳴っていた。
「からかってごめん。」
私の頭を軽く撫でて彼は部屋を出ていった。
本当にタチの悪い男だ‼
玄関のドアに向かってクッションを投げつけても
おさまりのきかない恥ずかしさは私の顔を余計、熱くさせただけで
会社に着く頃もその余韻を残していた。