期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
先輩のブーイングを回避してようやく買い出しを終えてマンションに着いてやっぱり思う。
仮住まいと言えど、こんなお高い家に少しでも住んでたらいざ、自分のボロアパートに帰ってギャップの差に泣いたりしないかと…。
数日分の食材を一気に下ごしらえして冷凍庫にいれる。
仕事があった日に毎度まともに作ってたらからだがもたない。
ってか、こんな庶民的な料理で若社長は嫌な顔をしないのだろうか…。
味見をしながら憂鬱な気分でテンションが下がる。
一通り料理ができた頃
玄関のドアがあいて「ただいま」の声が聞こえて体がビクつく。
「お、おかえりなさい。」
って、なんか変な気分だな…。
「良い匂いがする。夕飯は何?」
顔を緩ませて帰宅した彼の表情は会社で見かける時とはまるで別人の穏やかな表情をしている。
きっと彼の中には色んなスイッチがあるに違いない。