期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
悶々としながら6番会議室のドアをノックする。
「どうぞ…」
中からの返事が聞こえてドアノブに手をかける。
どうぞ。じゃねーよ。こっちは仕事中だっつーの。
心の中で舌をだしながらゆっくりドアを開けると
窓際に立つ男性を見つけて
あたしの背筋は凍りついた。
上野の名乗ったその人物はまさかの
若社長⁈
「お待たせして申し訳ありません。」
深く頭を下げたあたしに
若社長は「いいから、顔を上げて」と少し焦ったように言った。
何を言われるんだろうと鼓動を跳ねさせながら
ビクついた気持ちで姿勢を正し、頭を上げる。
若社長が目の前にいる。
しかも、私達以外に誰もいない会議室に…。
私、若社長に目をつけられるような何か大変なミスでもしただろうか。