期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
あのキス以来、たまに思い出して意識してしまうことはあるけど、若社長もあの日以来、酔う様子もなく食後の一杯を楽しんでるようだし。
異性との同居も漫画やドラマと違ってそうそうハプニングなんて起こらないものだ。
「ちょこ、あたしちょっと体調悪い。医務室で休ませて…」
「どうぞ…」
出社して間もなく、いつもと同じように顔色の良い先輩はサボるために嘘をついたけど、私は気がつかないフリをする。
まあ、生理3日目って言ってたしあながちサボりじゃないかもしれないし、先輩に対して余計な詮索は禁物だ。
先輩が受付を離れて間もなくのことだ。
「すいません。私榊原広告の上野と申しますが、社長様と会うことはできますか?」
姿勢の綺麗な長身の男性が立っていた。
榊原広告会社…
今日の来客予定には無い会社名…
「内戦を繋いでみます。少々お待ちください。」
若社長も少し前に外出から戻ってきている。
会議の予定がなければ繋がるかもしれない。
5回目のコールで若社長がでると私は要件を伝えた。
「お待たせ致しました。お時間があれば20分ほどお待ちいただけますでしょうか?」
すると広告会社の彼は安心したように頬を緩めた。
あれ?
この笑顔。
なんか見覚えがあるかも…なんて思ってしまうのは気のせいだろうか。