期間婚〜彼と私の微糖な関係〜

言いかけてる途中で、若社長の大きな手のひらが私の口を一瞬、覆って離れる。


「ちょこちゃんの言いたいことは分かってる。

だけど

今はちょこちゃんは僕の大切な婚約者。

偽りの中でも全部が偽りなんかじゃないんだよ。

今は嘘でも婚約者。それは事実でしょ?」

意味が分からないのに

なんとなくいいくるめられた気分。


「受け取ってくれるなら左手をだして?」

そうまで言われたら受けてらないわけにもいかない。

けど、婚約期間が終了したらその指輪どうすればいいのよ?


頭ん中がごちゃごちゃするけど

ゆっくり差し出した左手

若社長が買ったばかりの指輪をゆっくりはめていく。


緊張して瞼をキュッと閉じた。


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