期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
若社長の全部が知りたい
そんなわがままが心をくすぐって
背中に腕を回すと
そっと解かれていくリボン。
「…恐い?」
そう聞かれて首を横に振ると
若社長の手があたしの服の中に滑り込んでくる。
思わず体にしがみついた時、不意に若社長の匂いが鼻をくすぐって
あの日、若社長についていた女性の香りがフラッシュバックしたように舞い戻った。
「やっぱりダメ‼」
力一杯彼の手を制して体を起こした私を、若社長は戸惑いながら見つめた。
「どうしたの…急に…」
聞かれても答えられなかった。
だって
その事を言葉にしてしまったらまるで…
嫉妬してるみたいだから。
そう…
私はあの日
若社長から女性の香りがして嫉妬を覚えたんだ。
誰とどこで何をしていたの?
そんな苦い事を考えて
あの日私は嫉妬の苦さを知って
その気持ちに背を向けた。