夢色約束
「ん~美味し~!!」


「よくそんな甘いもの食べられるな」

光が苦笑して言ってくる。


「よくブラックコーヒーなんて苦いもの飲めるね」


「飲むか?」

ちょっと気になるかも…


「うん、飲む」


「は!?」


「え?ダメ?」


「いや、ん」

ちょっと戸惑ったような素振りを見せた光だったが、私にカップを渡した。


ゴク

「にっが!」


「ははは」

私はあまりの苦さに顔をしかめ、ワッフルを食べた。


「あ、私ももらったし、光も食べる?」


「ああ。もらうよ」


「はい」


「サンキュ」



パクッ

「甘いな…」


「あ、ごめん。大丈夫?」


「ああ」


てか、今気づいた…

私、無意識に関節キスしちゃってんじゃん!!

もー!なにやってんのー!

顔に熱が集まるのが分かった。


「香里奈?どうかしたか?」


「ん?なんでもない」


「…そうか?」

光はブラックコーヒーを飲む。


私たちはいろんな話をしていた。

気づけば、ワッフルも食べ終わり、外もだいぶ暗くなっていた。


「そろそろ、帰るか」


「…うん」


「そんな顔するな」


「ねぇ、家でも…」

このままで…そう言おうとした。


「香里奈」


「…」


「わかるだろ?」


「…だって」


「こんなことがバレたら、俺たちが一緒にいられる保証はない」


「でも…」

自然と顔が俯く。


「ごめんな、香里奈」


「謝らないでよ」


「お前の執事なんてな」


「ごめん、わがまま言っちゃった。冗談だよ!」

私は顔を上げて笑って見せた。


「…ああ」


「さ、帰ろ?」


「ああ」

私たちはまたぎりぎりのところまで手をつないで帰った。

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