夢色約束
「香里奈、帰るぞ」

いつもと変わらない会話。

でも、確かに光はいつもと違っていた。


「・・・うん」

ぎこちない私に由羅はまた呆れたようにため息をついていた。


「バイバイ、香里奈」


「う、ん。バイバイ、由羅」

手を振り返し、先に行ってしまった光を追いかけた。


「ごめん、お待たせ、光」


「ああ」

下駄箱で靴を履いて待っていてくれた光。

そっけなさは相変わらずだった。

私が靴を履いたことを見計らった光は歩きだし、二人で外に出て車を待った。

沈黙が続く。

気まずい・・・

息苦しい。

いつも沈黙が続いてもそれが心地好かった。

なんとなく、優しい空気だったから。

でも、こんなに息苦しい沈黙は初めて・・・

恐い・・・

堪えること数分。

車が目の前にとまった。

やっと来てくれた・・・。


『お待たせして申し訳ありません』

そういつもの笑顔で言ってくれる運転手さんになぜかほっとした。
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