夢色約束

お姫様と王子様!?

そして…次の日の放課後。


「…ねぇ、ねぇってば!」

ハッ!


「な、なに!?」


「も~さっきからボーっとして!人の話聞いてる?」

そこには、呆れたように私を見る由羅がいた。


「え?ごめん。なに?」


「もー!!」

…すいません。

でも、聞いてなかったんだもん。


「だーかーらー!昨日の呼び出し、なんて言われたの?」


「あぁ、なんかね、光のことが好きなんだって」


「…は?」

由羅があっけらかんとして私を見る。

は?って言われてもねぇ…。


「光が好きらしいよ?」


「それ…女?」


「いや?男の子だよ?」


「どうしたらそういう解釈するのよ…」

はぁ…と由羅はため息をついた。

ため息つかなくてもいいじゃん…。


「だって…」


「なんて言われたの?」


「えーと、確か…ずっと前から好きでした。付き合って下さい?」

だったよね?


「それ、自分へだと思わないわけ?」

へ?


「だって、私のことが好きな人なんて相当な物好きだよ?だから、まだ光のことが好きって方が納得できるでしょう?」


「はぁ…鈍感」


「何か言った?」


「なにも」


「香里奈」

後ろから声が聞こえた。


「なに?光」


「今日、委員会だから先に帰ってろ」

あ、学級委員長になっちゃったんだっけ?


「待っとくよ?」

1人もねぇ…


「時間かかるぞ?」


「別にいーよー」


「ん、わかった。じゃあ、連絡しとく」

…?

あ、家にか…


「はーい。よろしくー」


「ん」

光はそういって教室を出た。

私は由羅に向き直る。


「…なに、ニヤニヤしてんの」


「いやーもう会話が恋人じゃん」

な!!


「そんなんじゃないってば!」


「だって昨日デートしてたじゃん」


「だからそれは!」

買い物だって言おうとした瞬間…


「ほら、デートだって。やっぱり水月さんと光君付き合ってるんだよ」


「やっぱりか~ショックかも」


「でも、お似合いだよね、なんか」


「うん、ふたりとも目が違うもん」


「やさしいよねぇ~」


「ふたりでひとつって感じ!」


そんな声が聞こえてきた。


「だってよ?」

また、由羅がニヤニヤする。

由羅、まさかわざと…

危なかったな、否定してバレるところだった…。


「っ、う、るさい!」


「顔、真っ赤よ?」


「うるさい!」

知ってるわ!


「恥ずかしがってんだぁ~」


「別に!?」


「顔と言ってること、違うから」


「ムー」

いじけてやる…!


「はいはい」

慣れたように由羅にあしらわれた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

そして、放課後…


「じゃあ、行ってくるから、待ってろ」


「うん。いってらっしゃーい」

私は手を振って見送った。

ガタッ


「…由羅?」


「奏人、今日仕事で遅くなるらしいんだよね」

苦笑いで言う由羅。

奏人さんは、由羅の専属の執事さんだ。

光と違って年上で成人しているため、運転手でもある。

由羅は毎回迎えに来てもらってるんだ。

でも、今日は連絡して遅くしてもらったんだね…。


「ありがとう、由羅」


「なにがよ。私は奏人を待ってるだけよ?」


「はいはい」

わかってるよ、わざと遅くしてもらってること。

さっき連絡してたと思ったら、そのことだったんだね。

私が一人が苦手なのを知ってるからだよね。

だから…


「由羅、それでも…ありがとう」


「…うん」

照れくさそうに言った由羅に私は笑顔を見せた。
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