夢色約束
最後の夜
それからプールに行って、買い物にも行って…たくさんの時間を、由羅や、光や、那月くんと過ごした。
光はなんだかずっと忙しそうに走り回っていた気がする。
気づけばもう明日で夏休みは終わる。
「お嬢さま」
「あ、光!」
部屋のドアをノックして顔を出したのは光。
「明日の花火は8時からみたいです」
「そうなの?」
「はい、ですから7時に玄関でよろしいでしょうか」
玄関…
「やだ」
「え、お嬢さま?」
目を見開く光。
こんなことを言われると思っていなかったんだろう。
「明日は同級生なんでしょ?なら、ちゃんと外で待ち合わせようよ」
「ですが…」
「ね?」
私は念を押すように言った。
「…かしこまりました。では、駅前の時計の前で」
「7時にね」
「はい、では今日はもうお休みください」
気づけばもう0時。
そろそろ寝なくちゃ。
「ええ、そうするわ」
「それでは、お休みなさいませ、お嬢さ…」
「光!」
扉を閉じようとした光の声を遮って呼び止めた。
「はい?どうかなさいましたか?」