夢色約束
さよならの時間
「香…里奈?」
唇を離した光はまさに放心状態。
「ねぇ、光」
「…なん、だよ」
困惑した表情を見せる光。
「楽しかったね。光が私の執事でいてくれたこの十数年間」
ごめんね、気にしていたら、私も涙が溢れそう。
「香里奈…」
続々と打ち上がる花火の音で打ち消される私たちの声。
ちゃんと聞こえるのは、なぜだろう。
「たくさん迷惑かけたし、たくさん怒られたし、ケンカしたけど、楽しかったね」
ねぇ、光?
「ちょっと待て」
別れを自分から告げるのって、こんなに苦しいんだね。
「いつだって、守ってくれた。誰よりも近くにいてくれた。お母さんがいなくなってぐちゃぐちゃの私のそばにいてくれた」
こんなに苦しいことを、あなたは…自ら私にしようとしていたんだね。
最後まで、私を守ろうとしてくれたんだね。
「頼むから…待ってくれ、香里奈」
でも、私だってあなたを守りたい。
あなたにこんな辛いことをさせたくないから。
だから…
「でも、もう充分だよ、光。
私はもう、大丈夫。
だから………4つ目のお願い、ね?