夢色約束

「香里奈」


「光…」


「お待たせ」


「ううん、なにかしてたの?」


「…ああ、委員会が長引いて」


「そうなんだ。おつかれさま」


「帰るか」


「うん。帰ろ?」

私たちは手をつないで帰って行った。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「おかえりなさいませ。お嬢様」

うわー

本当にこれ、苦手…。


「ただ、いま。あの…」


「なんでしょうか」


「わざわざ出迎えていただかなくてもいいですよ?」


「そういうわけにはいきませんよ」

スッ

持っていたカバンを隣にいた人に抜き取られる。


「…光!」

そう、光だ。


「お疲れ様です」


「ああ。夕食の準備をする」


「わかりました。支度をしておきます」


「頼む」


「はい」

光の声で出迎えてくれていた執事さんやらメイドさんたちがぞろぞろと動き出した。

よくもまあ年上を一言で…

でも、光を妬むような声とか全く聞かないもんな…

やっぱり、光は努力をしているし、忙しいのに、仕事には手を抜かないし、完ぺきにこなすし、すごいもんなぁ…。

大人顔負けってね。


「お嬢様、では、まいりましょうか」

それでも、ちゃんと、部屋までついてきてくれるしね。


「うん」

最初はいいと言っていた私も、最近は光のその好意に甘えるようになって、学校帰りは一緒にそのまま私の部屋まで行ってから、部屋着などの用意までしてくれる。

そこまでは、いいんだけどな…。

一応、男の子だし…。

なんか、恥ずかしいし…。


カチャ

「では、私は夕飯の支度に行ってきます。できたらお呼びします。それまで寝ていていただいてもかまいませんが、くれぐれも、前のように制服のままでお眠りなさらないように!!」


「…はい」

私はこの前あまりの眠さに制服のまま寝てしまい、光に制服がくしゃくしゃになったと、散々怒られたのだ。

もう、怒られたくない。


「では、失礼いたします」

光はお辞儀を一つして出て行った。