夢色約束
「おかーさん!あれ買ってー!」

子どもの声にハッとした。

その子どもを見ると、さっきのアクセサリー屋さん。

俺はゆっくりと中に入った。


「スターチス…」


「よくご存知ですね」

声のした方を見ると、店員さんらしき人。


「え、まぁ」


「彼女さんにですか?」


「いや、えっと…」


「それ、彼女さんに選ばれる方、多いんですよ。スターチスの花言葉は………」


「……すいません、これください」

形に残るものは、今日、あいつに渡さなかった。

これから、1人になっちまうあいつに、そんな残酷なことできなかった。

これは、俺が持っておくんだ。

決して、あいつを忘れないように。

俺の初恋の女の子を、忘れないように…。
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