夢色約束
『おはよー』
『久しぶりー』
『夏休み、何してた?』
そんな会話が行き交う新学期。
また、新しい生活が始まる。
ざわざわ…
なんか、騒がしいな。
「あ、ねえ…」
集まっていたこの一人が私を指さして隣の子に声をかけた。
え…?
その子たちはそそくさと去って行った。
気付いた子たちがどんどん帰っていく。
なに…私……?
いつの間にか、そこには人がいなくなっていて、人が集まっていた場所には1枚の紙が現れた。
「なに…これ……」
"校内有名カップル!!は略奪愛だった!?"
大きな見出し。
『水月香里奈の彼氏、五月光は親友、西園寺由羅の婚約者だった!!』
下には私と光のキスシーンと由羅と光が一緒に家に入る写真。
これ、花火大会の時の…
周りから感じる冷たい視線。
どうして…
『私、憧れてたのになぁ…あのふたり』
『私もだよ』
『まさか、親友から奪ってたなんてね』
私は何も言えず俯いた。
いくら知らなかったとはいえやったことは変わらない。
教室、行こう…。
私は紙に背を向けて歩き出そうとした。
キュッ
思わず足を止める。
「……由羅」
由羅も気まずそうにこっちを見ている。