夢色約束
緋色
いつか…
「ん…」
ここ、部屋?
「また…私…」
「体調はどうだ」
「…お父さん……どうして…」
「娘の体調が悪い時に仕事なんてしてられるか…いや、そんなこと言えた立場じゃないな」
「…え?」
「悪かった」
突然頭を下げるお父さん。
「…お父さん?」
「お前を、一人にしてしまった。泣いてるお前から目をそらして、苦しめた」
「私は…寂しくなんかなかった」
「え…?」
「いや、違う。寂しかったけど、大丈夫だった。光が…ずっとそばにいてくれたから」
そう、寂しかったけど。
その分、光がいてくれた。
決して、私が一人にならないように。
そばにいてくれた。
「だから、謝らないで」
光がそばにいてくれた意味がなくなってしまうから。
「ありがとう、お父さん。帰ってきてくれて」
お父さんはそういった私の頭を撫でてくれた。
お父さんの目に、薄く涙が浮かんでいたように見えた。