夢色約束
外に出れば、私の隣を風が通り抜けた。
空を見上げれば雪が舞っていた。
少し歩きにくい道。
頭に雪が少しずつ積もり、手は冷たくなっていく。
「寒…」
隣から聞こえる、私にテンポを合わせたゆっくりめの足音も。
少し私の方に傾いた傘も。
雪ではしゃぐ私を見て、呆れたように『転んでも知らねぇぞ』って注意しながらもほんとに転びそうになったら助けてくれる腕も。
傘から抜け出して、雪を眺めながら歩いた私の頭に積もった雪を落としてくれた手も。
もう、私の隣にはないんだ。
昔、好きで仕方なかった雪は、もう、光がいないという現実を私に突きつけるものでしかなかった。