夢色約束
「いってらっしゃいませ」
運転手さんが深く頭を下げて見送ってくれる。
「いってきます」
ドアを開けてくれた早苗さんと一緒に会場に入った。
パーティの会場は水月の経営している中でもトップクラスのホテル。
「とても立派なところですね」
早苗さんが声をかけてくれる。
別に、機嫌を取ろうとしているわけじゃないんだろう。
そういうことをする人じゃないから。
早苗さんは付き添いになったことがなくて、来たのは初めてだから、素直に思ってくれたのかもしれない。
「そうですか?」
ここは苦手だ。
キラキラしすぎて、眩しい。
「本日のパーティ、挨拶回りで忙しいでしょうが、ぜひ楽しんでいらしてください」
「……………はい」
そんなことを言っているうちに、ひとつのドアの前に着いた。
「本日はこのお部屋で準備していただきます」
「わかりました」
「それでは、パーティが終わるころお迎えにあがりますので。失礼します」
「おつかれさま」
私はノックして部屋に入った。