夢色約束



「まあまあ!とてもお綺麗!」

着替え終わった私はそんな言葉で迎えられた。


「さぁ、こちらにどうぞ」

そう言って椅子を引かれる。

そして、私は見る見るうちにメイクされていった。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆






「おつかれさまでした。パーティを楽しんでいらしてくださいね」

笑顔で見送られ、私は部屋を出た。

これまで以上に憂鬱なパーティ。

光がいないから。

それもある。

いや、なによりそれが大きいんだけど……。

でも理由はそれだけじゃない。



このパーティはそこそこ大きな規模のものだ。

有名な財閥は大抵揃う。

もちろん、西園寺財閥も。

そう、由羅が来る。

別に、それが嫌なわけじゃない。

由羅が嫌いなわけじゃないし、むしろ好きだ。

私の初めての親友。

あんなことがあったとしても。

簡単に嫌いになれるわけがない。

ただ…………………


ガチャ

煌びやかなシャンデリア。

目がチカチカするほどカラフルなドレス。

たくさんいるカップルの中で、誰より先に目に入ってしまう。


「由羅…………」


「香里奈………」

こんな風に、再会することを、望んではいなかった。


「……………光」

2人でいるところなんて、見たくなかった。

虚しさが増すだけだ。

割り切れるはずもないのに。


「久しぶり、香里奈」

あなたの隣にいられないことを、思い知らされるだけなのに。
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