夢色約束



「光、」


「…………待っててくれ」


「え?」

これ以上話すとボロが出そうになって、私はこの場から離れようと言葉を発しようとした。

でも、先に言ったのは光。


「あと、少しだから。待っててほしい」

あと少し?

それって、いつ?

なにが?

待っていたら、どうなるの?


「俺も、頑張るから」

ねぇ、わかんないよ。


「光ー?………あ、ごめん」

由羅が光を呼びながら中庭に入ってきて、私の姿を見て、目をそらした。


「呼んでるよ」

私は1度目を伏せてから光に言った。


「……………ああ」

"じゃあな"と言って、光は由羅の元へ歩いて行った。


『絶対光は戻ってくるから!』

『待っててほしい』

ねぇ、光。

私、期待してもいいのかな……?




光の言った"もう少し"は、本当にすぐのことだった。
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