夢色約束
夢色
悲劇の続き
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
コンコン
「お父さん、香里奈です」
「入りなさい」
その返事を聞いて、私は部屋に足を踏み入れた。
「失礼します」
不思議と、この部屋に来ると背筋が伸びる。
『お父さん』。そう呼びながらも、この部屋では『お父様』なのだと。
ここにいるのは、私の父ではなく、水月財閥のトップに立つ人間なのだと。
そう思う。
「そこに座りなさい」
「はい」
あの日座った椅子。
あの日、涙を流した場所。
当然、今はもう跡は残っていないけれど。
そして、私はまたこの場所で、残酷な現実を思い知らされる。