夢色約束
「ちょっと由羅!」


「なに?香里奈」


「なにあれ!」


「なにが?」


「なに推薦してるの!」


「あれ?ダメだった?」


「ダメだった?じゃないわよ!」


「えー」

もう…


「私実行委員なんてなったことないんだよ?」

光に迷惑かけちゃうじゃん…。

あんまり、迷惑かけないように、学校ではあんまり関わらないようにって。

決めたばっかりだったのに…


「ねぇ、香里奈」


「なに?」


「それだけ?」


「なにが?」


「理由」

ドキッ


「…それだけだよ」


「そう、なんだ。じゃあ気のせい?」


「なにが?」


「登校の時はいつもと違って隣を歩いてなかった。休み時間は一回は話すあんたたちが一回も話してない。話しかけようとした光くんから香里奈は今日が日直なのをいいことに逃げてた。誰かどう見ても、香里奈。あんたが光くんを避けてるようにしか見えないんだけど」

え…

どこまで見てんのよ。


「いつから、気づいてた?」


「朝の段階では珍しいって思ってただけだったよ」


「そっか」


「でも、今日、明らかにテンション低いし、光くんのこと避けるし。おかしいなと思って光くんに聞いたんだよ」


「え!?いつ!?」


「お昼休み。あんたが日直だからって先生のとこ行ったとき」


「嘘…」


「光くん、心配してたよ。何かしたんじゃないかって」


「そう、だったんだ…」


「ね?光くん?」

由羅が大きな声で言う。

え?


「光!?」

ドアから顔を出したのは光だった。


「お前が朝から変だったから」


「…ごめん」


「ずっと避けるし。朝だって早いのかと思ってスピード下げたらお前も下げるし」


「ぅ…」


「那月がめっちゃ謝ってくるし。でも理由聞いてもいわねーし」

那月くん、言わないでくれたんだ。


「私にくらい、言ってよ。バ香里奈」


「…ごめん。由羅」


「今日はもういいよ。ちゃんと、光くんと帰って」


「うん、ありがとう」


「いいよ。明日お詫びしてもらうから」


「明日?」


「光くんも!お願い聞いてあげたんだからお礼してもらうわよ?」


「お礼?」

お願い?


「どういうこと?由羅」


「劇は恋愛もの。主役はあんたたち二人だから」

そう、由羅は爆弾発言を落とした。
< 23 / 261 >

この作品をシェア

pagetop