夢色約束
「香里奈」
光が私の方を向いていた。
「な、なに⁉︎」
「どうした」
「なにが⁉︎」
「挙動不審。朝から様子がおかしいぞ」
「おかしくない」
「目、そらすな」
いつ間にか私の前にいた光に顎を取られ、強制的に目を合わせられる。
目を伏せたい衝動に駆られても、なぜか目をそらせない。
「なにがあった」
「なにもない!」
「嘘つくな」
「嘘じゃない!」
「香里奈」
必死の否定もその声で制される。
「〜〜〜っ」
耐えられなくなって、軽く光を押すと、思いの外簡単に離れた。
「なぁ、」
光を見ると、その顔は切なげに目を伏せていた。