夢色約束
「俺……」
ゆっくりと開いたその瞳が、私を捕らえる。
「………………帰ってきてよかったか?」
私は、なんどこの人を傷つけるんだろう。
そんな言葉が聞きたかったわけじゃない。
むしろ、聞きたくない言葉だった。
嬉しくないわけがなかった。
何よりも望んだことだった。
なにをして欲しかったわけじゃない。
ただ、そばにいてくれることが。
ただ、笑っていてくれることが。
私の幸せでもあったから。
こんな顔、させたくなかった…………。
「ごめ、………」
私は、何を謝ってるの?
「わりぃ……なんでもねぇわ。忘れてくれ」
「光!」
「ほら、学校行くぞ。さすがに別々には行けねえから、周りがきになるなら先に…」
なんでもないように笑って欲しかったわけじゃない。
無理して笑って欲しかったわけじゃない。
「違うよ」
「香里奈?」
「違う…」
あぁ、もう……
ぐちゃぐちゃだな…。