夢色約束


「由羅のこと考えなさいよ」


「親友から婚約者奪って、挙句に一緒に登校?」


「神経疑うんだけど」

目を瞑って受け入れる。

全部、全部。

本当のことだから。

言い返すことなんてしなくていい。

ただ、黙って…………


バンッ

私の真横にあるドアが急に叩かれた。


「なにしてんの?」


「光………」

職員室から戻ってきた光は、真っ直ぐ、睨むように彼女たちを見据えていた。

その目には、怒りが滲んでいる。


「なぁ、」

ここまで怒っている光を見たことのない彼女たちは固まってしまっている。


「なにしてんのって、聞いてんだけど」


「………ぁ、っ、ぃや、話を…」

言葉に詰まりながら絞り出すような声だった。


「へぇ?香里奈と?」


「ぅ、ん……」


「バカはどっちだよ。俺が聞いてねえはずねえだろ」

その言葉に困惑したのは彼女たちだけじゃなかった。

光、聞いてたの?


「今度香里奈に手ぇ出してみろ。容赦しねぇから」

そう言ってもう一度彼女たちを睨みつけた光は私の腕を引いて、空き教室に入った。
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