夢色約束
「気づいてたの?」
しばらく流れた沈黙を破ったのは私。
「ああ、明らかに朝から態度はおかしかったし、前からなんとなくは知ってた」
「そっか」
じゃあ、一緒に行ったのもわざとだったとかもしれない。
「悪かったな。俺も迷ってたから中途半端な形になったけど」
私はその言葉に首を振った。
「ありがとう、助けてくれて」
私が微笑むと、光が近づいてきた。
「悪かった、そばにいてやれなくて」
「いいの」
「ずっとあんな感じだったのか?」
「もう慣れたし。もともとなにも感じなかったから心配はいらないよ」
「………ばーか」
呆れたように言った光は私の手を取った。
「震えてんじゃねーか」
確かに私の手は、小刻みに震えてた。
「あ、」
「助けるのが遅くなって悪かった。原因俺だし………」
「別に、光が悪いわけじゃないでしょ」
「行動が軽率だった」
「そんなことない。私なら大丈夫」
光がいてくれるなら、強くなれる。
「だからもう、謝らないで」
そう微笑むと、光も頭を撫でてくれた。