夢色約束



「香里奈、帰るぞ」

机をトントンと指で叩いた光が言う。


「あ、うん」

ボーッとしていた私は急いでカバンを取り立ち上がった。



「待ってよ光、っ」

光を追いかけて教室のドアを越えたとき、トンッと前の人にぶつかった。

その子の持っていた雑誌がバサっと音を立てて落ちた。


「はい」

私が拾い渡すと、


「あ、ありがと…」

よそよそしくお礼を言ってそばにいた友達とそそくさと教室に入っていった。


「バレンタイン、か…」

そういえば、もうそんな時期だ。

拾った雑誌はバレンタイン特集が組まれていて、それは私の頭に残った。
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