夢色約束
「香里奈ちゃん……」
「怖い………光は知ったら……」
安心する?
喜ぶ?
それとも……
時間が止まればいいのに。
時間が足りない。
光に言っても、言わなくても、あと1ヶ月。
1ヶ月で、どちらにせよ離れなくちゃいけない。
もっと、もっと、そばにいたいのに。
「急だね……って、思ったけど、普通なら1ヶ月も前、なんだよね」
そうだ。
1ヶ月しかないと思うのは、相手が光だから。
「香里奈ちゃん……俺は、光はもう知ってると思う」
「え……?」
「専属で、講師まで引き受けたんだ。知らされてない方がおかしい」
「だけど、」
なら、どうしてこの時期に戻ってきたの……?
どうして、講師を引き受けたの……?
昨日のあの嬉しそうな顔は何……?
全部全部、光が知らないなら辻褄が合っていた。
契約があと1ヶ月で終わると知らないからこの時期に戻ってきた。
なにも知らないから習い事感覚で講師を引き受けた。
なにも知らないから、嬉しそうな顔をした。
だけど、もし……もし、光が全部知ってたなら。