夢色約束
「おっはよー香里奈」

下駄箱の前で靴を履きかえていると、由羅が話しかけてきた。


「由羅、おはよう」


「あれ?光くんは?もしかして、また避けて…」

心配そうに言った。


「違う違う。光、熱出ちゃって…今日はお休み」


「そうなんだ。大丈夫なの?」

ホッとしたような顔を一瞬した後、また心配そうに言った。


「うん。大丈夫だと思うよ?」


「じゃあ、今日は早く帰ってあげなくちゃね」


「うん」


「ま、じゃあ、頑張って。実行委員!」

軽く肩をたたいた。


「もー思い出させないでよー」


「ははは」

由羅は笑いながら教室に入って行った。

私もそのあとに続いた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「じゃあ、今日は役割を、決めて、いき、ます」

うぅ…緊張するー

光はいっつもこんなのしてるの!?


「由羅」


「はーい」

由羅を呼ぶと由羅は出てきて台本に書いてある登場人物を黒板に書きはじめた。


「由羅ちゃん、」


「なにー?」


「主人公っぽい子、いないよ?」


「ああ、主人公は私が決めさせてもらった」


「えーだれだれー?」


「んー?えーと、女の子が香里奈でー」


「は!?」

本気だったの!?


「男の子が光くんだよ」


「やっぱりかー」

そこ、やっぱりなの!?


「てか、なにその執事とメイドの役の数」


「多いねぇ」


「あぁ、ストーリーがそういうのなの」


「恋愛ものじゃなかった?」


「そうだよー執事とお嬢様のね」

楽しそうに由羅が言った。


「キャーたのしそ~」

女子がはしゃぐ。


「じゃあ、女子と男子で固まって、メイド役と執事役を決めていってください」

なんとか、指示できた。


「はーい」

よかった…

なんとか、決まりそう…
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