夢色約束
~女子側~


「どうする?だれでもいいとは思うけど…」


「やりたいことか、いる?」


「あ、私やってみたいかも」


「私も」


「あ、じゃあ、ふたりは決まりね」


「あ、そっか、由羅ちゃんと香里奈ちゃんはできないんだよね」


「由羅も?」


「だって、私、監督もしなくちゃだもの」


「あ、そっか」

監督だからできないのか…


「じゃあ、ほとんどみんなやってもらわなくちゃだから…」


「私たちは裏方に回るよ」

あんまり話したことない3人くらいの女の子たちが言った。


「でも…」

なんか、悪いな…。


「なら、シェフ役とかは!?」

私は提案してみた。


「いいかも!」


「いいじゃん、やりなよ」

みんなも賛成してくれる。


「でも…」

あ、嫌なのかな…


「せっかくだし、ね?」


「いい、かな?」


「いいよいいよ。調整しておくから」


「ありがとう」

よし!決まり!


♪~

「香里奈ちゃん、携帯なってるよ?」


「あ、ほんとだ…」


「出ちゃえば?」


「でも…」


「先生いないし、大丈夫だよ」


「ここででていーよー」


「静かにしておくから」

みんな、やさしいな…


「ありがとう。ちょっとだけ、ごめんね?」


ピッ

「もしもし」


『香里奈?』


「光?大丈夫?」


『悪いな、授業中だろ?』


「わかっててかけてきたの?」


『心配になって』


「ちゃんとできてますー」

もう、子ども扱いして!


『なら、いいけど』


「体調は?」


『マシ』


「ならよかった」


『あと、さ…』

ん?

あ、もしかして…


「やっぱり、由羅が主役にしてたよ」


『やっぱりか…西園寺の奴…』


「ははは、案外みんなノリノリだよ」


『なんだそれ』

ハッと光が笑った。

てか…


「光、もしかして…」


『ん?』


「それだけ?」

なわけ、ないよね?


『…』


「光?」

なんで、黙るの?


『わりぃかよ』

小さな声が聞こえた。


「え?」


『それだけで電話したら、わりぃかよ』


「悪くは、ないけど…」

絶対顔赤い!

今、絶対に顔赤い!


『なら、いい。じゃあな』


「あ、光!」


『何』

あ、いじけてる…

ふふ、と笑みがこぼれた。


「ちゃんと、寝ててね?」


『…はいはい。お前もちゃんと仕事しろよ?』


「ちゃんとしてますー!」


『どうだか』


「もう、子ども扱いしないでよ」

同い年なのに!


『してねぇよ』


「え?」


『できてたら、苦労しねぇよ』

苦労?


「光?」


『なんでもない。気にするな。じゃあな』


「あ、ちょ、光!」

プツッ

電話が切れた。

なんなのよ、もう…
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