夢色約束
「香里奈ーお待たせー」

しばらくして、由羅が戻ってきた。


「ああ、おかえり」


「食べ終わった?」


「うん」


「ねーねー由羅ちゃん」

私の周りにいた女の子が由羅に話しかけた。


「なに?」


「光くんとなんの話、してたの?」


「ああ、劇のことで…」


「やっぱりそうなんだ~」

なんか、この子達、感じ悪いな…


「由羅、屋上行かない?」


「え?いいよー」

私と由羅は逃げるように屋上に向かった。


「ねぇ、香里奈?」


「なに?」


「なんなの?さっきの」

ああ、あの女の子たちね


「…わかんない」


「なにそれー」

ははは、と笑って階段を上がって行った。


ギィィ

屋上のドアを開くとブワッと風が流れ込んできた。


「あれ?香里奈ちゃん」


「那月くん!」

そこにいたのは那月くんと…


「なんで香里奈たちが?」

光だった。


「光も!今日はここで食べてたの?」


「ああ」


「私たちは、女子から逃げてきたの」

由羅が平然と答える。

確かに、逃げた。

思わず苦笑する。


「香里奈ちゃんたちも食べるー?」


「なにを?」


「お菓子」

ニカッと笑って那月くんが言った。

なんとなく、あぁ、好きそうだなぁと思った。


「私たち今お昼食べてきたところなんだけど…」

由羅が呆れたように言った。


「ああ、俺も言ったんだよ。でもこいつがわけたら食べられるとか言って開けて…」


「で?那月が食べられなくなったの?」


「そういうこと」

光と由羅が苦笑する。


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