夢色約束
「ん?那月?」

由羅ってそう言ってたっけ?


「ああ、那月は私と同中なの」


「えーーー!!」

嘘!?


「あれ?言ってなかったっけ?」

由羅が首を傾げる。

いや、可愛いんだよ?

可愛いんだけどね?


「初耳!」

です。


「香里奈ちゃん、面白いね」

ケラケラと那月くんが笑う。


「光は知ってたの?」


「ああ」

えー


「教えてよー」


「お前が知らないとか、思わないだろ。普通」


「むー」

なんか、私だけ知らなかったとか、やだな…。


「なに膨れてんだよ」


「別に!?」

光に大きな声で言った。


「ったく、どうせ仲間外れにされたみたいで嫌だ。とか、思ってんだろ?」

あ、わかってるのね…。

てか、わかってるなら聞かないでよ!

光のバカ!


「だいたい!光は言わないことが多すぎるの!」


「なんで俺のせいなんだよ」


「この前の熱の時だってさ!」


「あれは、自分でも気づいてなかったんだから仕方ないだろ?」


「それだけじゃないじゃん!」

あのときもこのときもと言い合いをしていると…


「おふたりさん」

ふと、苦笑した那月くんに口を挟まれる。


「なんだよ」


「痴話喧嘩はそれくらいにしておかないと、午後の授業間に合わないぞ?」

ち、痴話喧嘩!?


「そんなんじゃないよ!」 「そんなんじゃねぇ」

そろって言う。


「マネしないでよ!」


「お前の方だろ」


「あーあ、また始まった…香里奈、早くしないとおいてくよー?」


「あー!待ってよ、由羅!」

もう屋上から出ていこうとする由羅を追いかけた。


そして、私たちは走って教室に戻り、ギリギリセーフで授業を受けた。
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