夢色約束
虹色
崩れる心
「あー!もう!違う違う!」
由羅が駆け寄ってくる。
「えー?」
「そこはもうちょっと、哀しそうに」
哀しそうにって言われても…
「んー、」
ピンとこないな…
由羅はため息をついて私に耳打ちをした。
「これは、香里奈と光くんをモデルにした話なんだから、自分たちがもしもこうなったらって考えて演じてくれればいいんだよ」
もしも、こうなったらか…
この日の練習はそうして終わって行った。
「光?かえろ~?」
「あ、俺、ちょっと用事あるから先に帰っとけ」
光?
光はそのまま教室を去って行った。
「なに?またケンカ?」
「由羅…わかんない。光がなんか最近よそよそしくて…」
「ふーん。珍しいわね」
「うん」
「先に帰るの?」
由羅が首を傾げた。
「んー、待っておこうかな」
「そっか…一緒に待ってあげたいのはやまやまなんだけどごめんね。今日用事があるから…」
申し訳なさそうに言ってくる由羅。
「全然いいよ!ありがとう」
「ごめんね。バイバイ!」
由羅はそう言って走って行った。
てか、光。
戻ってくるかな?
「カバンあるし、戻ってくる、よね?」
私はなんとなく、光の机に座ってみた。
光はいっつもここで授業受けてるんだよね…
ヤダ、なんか私、変態みたい…
「なんか、眠くなってきたな…」
私は少しだけ、光の匂いがするからか、安心して眠りに落ちた。