夢色約束

ん?

誰か、いる?


「誰だ…って、香里奈?」

そこには香里奈がいた。

て、それ、俺の席だろ……


「香里奈」

俺は近づいて声をかけてみる。

反応は、ない。

寝てるな、こりゃ…


「ったく…」

仕方ねぇなぁ…


「香里奈、起きろ」


「ん…」

ドキッ

こいつは…また…無防備すぎるんだよ!


「香里奈、起きろって」


「ん…ヤダ…」


「ヤダじゃねえよ」


「まだ寝るの~」


「寝るな。起きろ」

寝ぼけてるな、こいつ。


「んー」


「香里奈」

うっすらと目を開ける。


「…ひ、光!?」

俺を見つけた香里奈は目を見開いた。


「ったく、帰ってろって言ったのに…なに寝てんだよ」


「だって…」


「しかも俺の席で!」

『俺の』を強調していった。


「眠かったんだもん」


「眠かったじゃねぇ!なんでこんなとこで寝てんだよ!」


「なんで怒るの!?」


「あぶねぇだろうが!」

こんなとこ、俺じゃない誰かが見つけてたらどうなっていたか…


「ごめんなさい…」

俺はため息をついた。


「光」


「なんだ」

俺は不機嫌そう言った。


「…ごめん。怒らないで?」

上目使いで言ってくる。

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