夢色約束
二時間後…
「きゅ、休憩~」
私は椅子に倒れこむように座って言った。
「なんだよ。体力ねぇな」
「だって、一時間ぶっ通しだよ!?」
体力も尽きるでしょ!?
「はは、なら、俺がお茶でもいれて…」
パシッ
「待って!!」
私は気付けば光の腕をつかんでいた。
「香里奈?」
ハッと、我に返る。
「ごめん。えーと、」
「そこの冷蔵庫にも、飲み物くらいあるし、それ飲むか」
フッ、と笑った光はそう言った。
「うん」
私は笑って返事をする。
光が冷蔵庫に飲み物を取りに行くとき、私は少しでもセリフを覚えようと台本を開いた。
ん?
これ、私のじゃない。
光のだ。
「すごい…」
思わず、声が出る。
光の台本は赤ペンの文字だらけ。
細かくいろんなことが記されていた。
ペラペラとページをめくっていくが、その文字は尽きることなく最後までビッシリと書き込まれていた。
私がそれを必死に読んでいると…
バサッ
「あぁ…」
上から取り上げられた。
「お前のはこっちじゃないだろ」
「う…だって…」
すごかったんだもん。
「光って、すごいねぇ。いつそんなに書いたの?」
「もらったとき」
は!?
「一晩だけで!?」
「いや、後は練習していく段階で、書いていってただけだよ」
「…光って、超人だったんだね……」
「見つけた俺の正体がそれかよ…」
呆れたように言った。
「だって…」
そういうと、ピタッと頬になにかをつけられた。
「つめた!!」
「お、いい反応」
光が笑って差し出したのはペットボトル。
「普通に渡してよ!普通に!」
「普通だろ」
普通じゃないでしょ…
そんなことをしながら休憩していると…
「楽しそうだな」
ドアが開いてある人が入ってきた。