夢色約束
由羅はそのまま去って行った。

私は、もともとドアの影にいたから気付かれなかったものの、その場からしばらく動けなかった。


「・・・行か、なきゃ」

ガチャ


「香里奈・・・」


「お待たせ、光!!」


「・・・おせーよ」

困ったように笑った光は、話を聞いていたことには気づいていないようだった。


「ごめんごめん、片付け終わんなくてさー」


「お疲れ」

光は私の頭を撫でた。


「光は?委員会終わったの?」


「ああ」


「そっかーお疲れさま」


「さんきゅ」

光は嬉しそうに笑った。


「もう始まる。行くぞ」

そして、私の腕を引いて、部屋を鍵で開け、中に入った。
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