夢色約束
「そういえば…」

由羅がふと、言う。


「ん?」


「来週からテストだよね」

ちょっと暗い声で言う由羅。

…テスト?

………!!!!!!!!




「あぁ!!」


「え、忘れてたの!?」


「すっかり忘れてた!」


「まぁ、大丈夫でしょ…香里奈なら」


大丈夫じゃないって!

最近いろいろありすぎてヤバいって!


「どうしよ…」


「光くんに教えてもらえばいいじゃない」

ピク


「学年主席なんだから」


「そうだけど…」

そう、光は入学当時から一度もブレルことなく主席を維持している。


「香里奈が頼んだら教えてくれるでしょう?」


「…たぶん」


「たぶんって…」

由羅が呆れたように笑った。


「光、最近忙しそうだし…」

一瞬、由羅の顔が強張ったのを、私は見逃さなかった。


「まあ、大丈夫なんじゃない?香里奈はいつだって、光くんに続いての2位。譲ったことないじゃない」


「そうだけど…」

光には勝てないんだよね…


「ま、一回聞いてみたら?」


「うん…」
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