夢色約束
私たちは教室に入った。


「おはよ、香里奈ちゃん」

後ろから声をかけられる。

振り向くと……


「那月くん!」

手を軽く上げている那月くんがいた。


「おはよう」


「香里奈ちゃんすごいね。光に追いつくなんて」


「そんなことないよ。結局勝てなかったわけだし……」


「光が気にしてたよ」

……なにを?


「あんまりにも香里奈ちゃんが必死だからなに頼むつもりなんだーって」

悪戯が成功した子どものようにケラケラ笑いながら言う那月くん。


「ははは……」

私は苦笑で返した。


「とか言いながら、どうせ香里奈ちゃんの体調のこと、気にしてたんだろうけどね」

私の…?


「香里奈ちゃん、最近遅くまで起きてたんじゃない?」

え……


「どうして知ってるの?」


「光が寝不足だったみたいだからね」

呆れたように、言った那月くん。

私の頭にはハテナがたくさん浮かんだ。
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