夢色約束
「……別に、」

私が少し怒ると光の声のトーンがまた下がった。


「まあまあ。俺は大丈夫だから。ね?香里奈ちゃん」


「大丈夫じゃない。那月くんは……」

そう続けようとした時、光がため息をついた。


「もういい」

そして、そう言ってまた自分の席に戻った。


「もう……なんなのよ」

わけわかんない。


「ごめんね、那月くん」


「いやいや、俺のせいでもあるしね。それに、光が不機嫌なのも、わかる気がするから」


「そうなの?」


「まあ、女の子には理解しがたい男の感情……みたいな?」

なに、それ……?


「まあ、あんまり気にしないほうがいいよ」

そう言って那月くんも席に着いた。
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