夢色約束
「わけわかんない……」

私も続いて席に着き、突っ伏した。


「香里奈ーどうしたのー?」


「由羅ー」


「んー?」


「男の子にしかわからない感情ってなに?」


「どうしたのよ、急に」

驚いたように私を見る。


「んー、」


「……そうだな。たとえば、香里奈だって、なんとなく光にわかってもらえてないな。って思うこと、あるでしょ?」

光に、わかってもらえないこと……。


「ある、かな……?」


「え、まさかないの?」

だって、光はある意味、私よりも私のことわかってるから……。

言わなくても気づいてくれることがほとんどだし……


「さすが……」

感心したように。呆れたように。
そして……
どこか切なそうに言った由羅。


「え?」

私は思わず聞き返した。


「あ、じゃああの時は?」

そんな声に気づいているのかいないのか、由羅が思い出したように言った。


「あの時?」


「ほら、中学に入りたての頃、一度だけ大きなケンカしてたじゃない。香里奈と光くん」

……そういえば、そんなこと、あった気がする……。


あれは確か……

そう、中1で光がモテ始めた時だ。
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