ツヤコおばさん

六根

どう仕様もありません、欠如しているのですから。
狛犬に霊能は通じません。超能力が効かないのです。

だからこそ目に見えない最も大切なものを守護する
霊獣としてあがめられてきたのではないでしょうか。

八百ばあばは幼い頃から弱視でそのうち片方の目は
全く見えなくなりました。東北のイタコの多くは
盲目あるいは弱視で、そのほとんどは女性でした。

生きるために彼女達は必死に霊感を磨かざるを
えなかったのだと思います。度重なる飢饉と冷害のために
東北では悲惨な女性の歴史があります。

眼耳鼻舌身意の6根です。眼力を失った彼女達は
生きるために他の5力を研ぎ澄まさざるを得なかったのです。
聞こえないものまで聞こえる耳。獣の心まで察しました。

テレパシー、その思いをキャッチしなければ自分は
おとしめられてしまうのです。それは即死を意味します。
多くの女性が死にました。

鼻の力舌の力も同様です。ちょっとした香りや匂いで
敵味方の存在を感知する。舌先で毒を味き分けたのです。
緊張の一生だったのでしょう。さらに大切なのは身つまり触覚です。

これは生業にマッサージが多いことでもよく分かります。
彼女達は猛特訓で指先や腕を鍛えました。体力がいるのです。
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