『私』だけを見て欲しい
「紗世ちゃんは…アテになりませんか?」
唯一、名前を呼び捨てる部下の顔を思い出す。
マネージャーは呆れた感じで、「ちっとも」と呟いた。
「そうですか…困りましたね…」
紗世ちゃんが育たなければ、私はいつまで経っても辞めれない。
あの子にはサブなんだ…という意識すらない。
もっと責任持って、働いて欲しいのに。
「佐久田さん…」
『結衣』と呼んでくれた人が苗字を口にする。
寂しさを感じながら目を向けた。
「何ですか?」
勿体ぶった感じの時は、お願い事がある時。
そんな微妙な雰囲気も、いつの間にか掴めるようになった。
「ここのディスプレイのことだけど…」
振り返る方を見て驚く。
『美粧』さんの鉢やカバーで作られたミニガーデン。
色彩がパステル調でロマンティックな仕上がり。
「これ…誰が作ったんですか⁉︎ …まさか、マネージャーが…⁉︎ 」
いつかの商談の時みたいにテレる。
母の所に届けられた花束と同じ色調。
間違いない、マネージャーが作ったんだ…。
「ステキ…ホントのお庭みたい…」
夏物のディスプレイで使った白いテーブルと椅子は、そのまま再利用。
サイドに飾ったグリーンも配置を変えてるだけ。
なのに、どこか甘い感じ。
この人の普段の様子からは、とても見ることができない一面…。
「あっ!可愛い!ネコがいる!」
鉢カバーの隅に黒い陶器のネコ。フロアの商品だ。
唯一、名前を呼び捨てる部下の顔を思い出す。
マネージャーは呆れた感じで、「ちっとも」と呟いた。
「そうですか…困りましたね…」
紗世ちゃんが育たなければ、私はいつまで経っても辞めれない。
あの子にはサブなんだ…という意識すらない。
もっと責任持って、働いて欲しいのに。
「佐久田さん…」
『結衣』と呼んでくれた人が苗字を口にする。
寂しさを感じながら目を向けた。
「何ですか?」
勿体ぶった感じの時は、お願い事がある時。
そんな微妙な雰囲気も、いつの間にか掴めるようになった。
「ここのディスプレイのことだけど…」
振り返る方を見て驚く。
『美粧』さんの鉢やカバーで作られたミニガーデン。
色彩がパステル調でロマンティックな仕上がり。
「これ…誰が作ったんですか⁉︎ …まさか、マネージャーが…⁉︎ 」
いつかの商談の時みたいにテレる。
母の所に届けられた花束と同じ色調。
間違いない、マネージャーが作ったんだ…。
「ステキ…ホントのお庭みたい…」
夏物のディスプレイで使った白いテーブルと椅子は、そのまま再利用。
サイドに飾ったグリーンも配置を変えてるだけ。
なのに、どこか甘い感じ。
この人の普段の様子からは、とても見ることができない一面…。
「あっ!可愛い!ネコがいる!」
鉢カバーの隅に黒い陶器のネコ。フロアの商品だ。