『私』だけを見て欲しい
「お前な…子供に無関心なのはダメだぞ⁉︎ 」
「いえ、別に無関心な訳じゃ…」

単純に、任せきりだっただけ。
家事も育児も全部、母に頼りきってた。

「もういい。お前はアテにしない。俺なりに何とかする!」
「何とかって…」

どうするの⁉︎
情報少ないのに、仲良くなれるもんなの⁉︎

「安心しとけ。誰とでも友達になれるって、言っただろ⁉︎ 」
「い、言いましたけど…」

ウチの子は反抗期で、返事もマトモに返ってこないよ⁉︎
おまけに訳の分からない略語をやたら使うし…。

私の話を笑い飛ばす。

「俺もおんなじ事してた!変わらないな。今も」

懐かしい…だって。
知らないから。


車の中で交わす言葉一つ一つが胸に刻まれてく。
トモダチの顔して彼を紹介する。

どうか、泰が…彼に牙だけは向けないように祈りたい。
父親を知らずに育った子が受け入れられる、最初の男性になって欲しい。

(いつか…この人のことを好きだと紹介したいから…)

誰にも祝福されなかった前の結婚。
終わった後、家族に申し訳ない気持ちでイッパイだった。

もっと、皆に祝って欲しかった。
そしたら、あんな事にはならなかったかもしれない。


だから、この人とは…じっくりでいい。
ゆっくりと前に進んで、皆に祝ってもらいたい。

そんな日が…もしかして来たら…の話だけど…。
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