『私』だけを見て欲しい
ホントの『私』を見て欲しい
1週間後、無事、退職の日を迎えた。
何かと引き継ぐことが多くて、結局、毎日残業続きだった。
母には簡単に彼のことを説明した。
時折、家に来ること。
泰の遊び相手をしてくれること。
あの子が喜んで、少し明るくなったこと。
学校に通えてるのも、きっとそのせいだと思う…と話した。
「…だから、言ったじゃない!あの人と結婚すればいいのよ!」
母は単純に笑う。
私がどれだけ臆病に思ってるか、知りもしないで…。
「佐久田さーん、辞めないでー!!」
最終日、閉店の合図を知らせるメロディが流れ出すと、紗世ちゃんは急に叫んだ。
相変わらずの甘えん坊。
でも、以前に比べると、仕事のデキる女になった。
「大丈夫!紗世ちゃんならフロアをまとめられるって!」
顧客名簿を手渡した。
教えられることはもうないけど、それを見ながら売り上げを伸ばしてね…と言った。
「え〜ん!」
泣き出した。
この子、ホントは泣き上戸だったんだ…。
仕事が済んで、退職祝いの送別会を開いてもらった。
フロアの社員全員の他に集まったのは、同期の金井ちゃんとれんや君。
当然、マネージャーもいた。
「来週から佐久ちゃんに会えなくなると思うと寂しーなぁ…」
ビール注ぎながら、れんや君が話す。
外商部の彼とは、あの社食でのランチ以降、あまり接点もなく過ごした。
子犬のような可愛い顔は変わらず。
今でも女性にモテてるみたいだった。
何かと引き継ぐことが多くて、結局、毎日残業続きだった。
母には簡単に彼のことを説明した。
時折、家に来ること。
泰の遊び相手をしてくれること。
あの子が喜んで、少し明るくなったこと。
学校に通えてるのも、きっとそのせいだと思う…と話した。
「…だから、言ったじゃない!あの人と結婚すればいいのよ!」
母は単純に笑う。
私がどれだけ臆病に思ってるか、知りもしないで…。
「佐久田さーん、辞めないでー!!」
最終日、閉店の合図を知らせるメロディが流れ出すと、紗世ちゃんは急に叫んだ。
相変わらずの甘えん坊。
でも、以前に比べると、仕事のデキる女になった。
「大丈夫!紗世ちゃんならフロアをまとめられるって!」
顧客名簿を手渡した。
教えられることはもうないけど、それを見ながら売り上げを伸ばしてね…と言った。
「え〜ん!」
泣き出した。
この子、ホントは泣き上戸だったんだ…。
仕事が済んで、退職祝いの送別会を開いてもらった。
フロアの社員全員の他に集まったのは、同期の金井ちゃんとれんや君。
当然、マネージャーもいた。
「来週から佐久ちゃんに会えなくなると思うと寂しーなぁ…」
ビール注ぎながら、れんや君が話す。
外商部の彼とは、あの社食でのランチ以降、あまり接点もなく過ごした。
子犬のような可愛い顔は変わらず。
今でも女性にモテてるみたいだった。