『私』だけを見て欲しい
「うん…昨日、君に任せたディスプレイの変更が気になってね…」

(早起きして確かめに来た…ってこと⁉︎ 感じ悪ぅ…)

「言われた通りに変更しておきましたけど…これで良かったですか?何か加えますか?」

売り場の前に人気商品を陳列する。
電話だけじゃなく、商品を直接見に来る顧客もいるから、その為にしてる。

「いや…これでいいよ。相変わらず上手いな…って、感心してた所」
「えっ…」

耳を疑うような褒め言葉。
今日は何かあったの⁉︎

「…何⁉︎ その顔…」
「えっ⁉︎ あ…いえ、なんか素直に褒められるのに慣れてないと言うか…初めて聞いたような気がしたので…」

しどろもどろ。
まさか、見られてるとは思わなかった。

「あー、そうか。今まで褒めたこと一度もなかったか。そういやそうだ!」

悪い悪い…って、自分で言って呆れないで。

「佐久田さんに任せとけば大丈夫って、いつも安心しきってるからさ…!」
「はぁ…」

そーですか…ってか、どうしたんですか?今日は…ホントに。

「あのさ…」

山崎マネージャーの口が開く。
言いにくそうな顔に目を向けて、首を傾げた。

「何ですか?」

聞き返すと口ごもる。

…あのね、さっさと言いたいこと言ってよ。
私、忙しいから、早めに会社来てんのよ⁉︎


「……あっ、山崎さん!佐久田さん!」

昨日早く帰ったサブリーダーの子がやって来た。
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