『私』だけを見て欲しい
Act.2 シゴトの顔
バタバタバタバタ……
走ってくる足音。


「ちょっと!仕事中!…走らないっ!」

向かって来る若い子に注意。


「うわっ!佐久田(さくた)さん…!」

ヤバい…と口に出して歩き出す。


「藤間(とうま)君、いつ来客があるか分からないのよ!もう少し静かにして!」

廊下と言えども公共の場だと教える。


「す…すみません…」

びくびくオドオド。
そんなビクつかなかくても、これ以上怒ったりしないって。



「ーーー佐久田さん、今度の行事のことなんだけど…」
「あ…はい、課長、その件ならここに要綱が…」

手に持ってるバインダーの中から見つけ出す。
黄色の付箋が付いた紙を手渡す。


「ちょっと人数が少ないので、もう少し締め切り伸ばしていいですか?できるだけ沢山の方に参加して頂きたいので…」


会社の新歓パーティー。
今回の幹事は、私達、雑貨フロアの社員。


「…場所は?もう決まった?」

総務の責任者でもある課長から質問を投げかけられる。
予算、人数、日時……。
新歓パーティーなんてやる暇、こっちにはないって言うのに…。


「はい…候補は幾つか押さえてます…」


新年度に変わって1ヶ月。
新人もようやく仕事に慣れてきた頃行われるパーティーは、毎年、皆のブーイングの元になってる。


「…じゃあ、締め切りをあと1週間伸ばすから、最低10名は増やして」

「えーーっ…と、あ…はい、頑張ります……」
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