『私』だけを見て欲しい
Act.6 カノジョの顔
金曜日。
新歓パーティーの朝。
「…今夜遅くなる。会社の新歓パーティーあるから」
ご飯食べながら話した。
例によって泰はだんまり。
母は「またなの…⁉︎」と呆れた。
「あんたのとこの会社、呑みが好きだねぇ…」
(…全く。その通りです…)
間違いないから無言。
こんな慣習知ってたら、入ってないって。
「なるべく早く帰るから。夕飯もいらないから」
「はいはい。分かってるよ」
おざなりな返事。
先月あったばかりから、無理もないけど。
(1人5000円か…厳しいなぁ…)
学資保険や生命保険。貯金もしてる私には、殆ど余分なお金は残らない。
(来月切り詰めるしかないか…極力、電話とか控えて…)
あれこれ考えながらの出社。
参加する前からこれだから、楽しもうという気にはならない。
「おはようございます…」
誰もいないフロアに挨拶。
電気もついてないと、ただの倉庫って感じがする。
「おはようー!ハニー!」
最上階から声がした。
(ハニー⁉︎…どこの誰…⁉︎)
辺りをキョロキョロ見回す。
階段の方から下りてくる靴音。踊り場へ駆け寄った。
「おはよう…今のハニーって、あなたが言ったの⁉︎…」
呆れ顔で聞く。
ネクタイを緩めに結んだ『れんや』君が、笑顔で近寄ってきた。
「そうです。だって、今日はオレの彼女でしょ!だからそれらしく聞こえるように…」
アホらし。
ただのカモフラージュか…。
新歓パーティーの朝。
「…今夜遅くなる。会社の新歓パーティーあるから」
ご飯食べながら話した。
例によって泰はだんまり。
母は「またなの…⁉︎」と呆れた。
「あんたのとこの会社、呑みが好きだねぇ…」
(…全く。その通りです…)
間違いないから無言。
こんな慣習知ってたら、入ってないって。
「なるべく早く帰るから。夕飯もいらないから」
「はいはい。分かってるよ」
おざなりな返事。
先月あったばかりから、無理もないけど。
(1人5000円か…厳しいなぁ…)
学資保険や生命保険。貯金もしてる私には、殆ど余分なお金は残らない。
(来月切り詰めるしかないか…極力、電話とか控えて…)
あれこれ考えながらの出社。
参加する前からこれだから、楽しもうという気にはならない。
「おはようございます…」
誰もいないフロアに挨拶。
電気もついてないと、ただの倉庫って感じがする。
「おはようー!ハニー!」
最上階から声がした。
(ハニー⁉︎…どこの誰…⁉︎)
辺りをキョロキョロ見回す。
階段の方から下りてくる靴音。踊り場へ駆け寄った。
「おはよう…今のハニーって、あなたが言ったの⁉︎…」
呆れ顔で聞く。
ネクタイを緩めに結んだ『れんや』君が、笑顔で近寄ってきた。
「そうです。だって、今日はオレの彼女でしょ!だからそれらしく聞こえるように…」
アホらし。
ただのカモフラージュか…。