『私』だけを見て欲しい
今日もやっぱり眠たそうな顔してる。
上で見た時は真面目そうに仕事してたのに、どうして下りてくるとこうなんだろう。

「届きました!今、検品してる所です!」

商品は全部で8種類。各10個ずつ…と注文したから、その通りか検品中。

「このシリーズステキですね!欲しくなっちゃう!」

紗世ちゃんは梱包された商品を出しながら、ウキウキして言った。

「イイ物先に見れて、佐久田さんは役得でしたね〜!」

まだ、あの時のこと根に持ってるみたい。

「私も商談に参加してみたいなぁ…」

ああ、そうか。そっち狙いか。

ちらっとマネージャーの顔見る。一瞬だけ目が合った。
ドキッとしたのは、向こうも同じ?
すぐに視線外された。

「紗世には商談なんて100年早い!…まだまだ修行が足りないから」

バカにして笑ってる。
ムクれる紗世ちゃん。マネージャーの言う通りなんだけどね。


「…このシリーズ、フロアの一番目立つ所に陳列して。そしたら即完売すると思うから」

こっちを見ないで言うから、紗世ちゃんに頼んでるのかと思った。

「…いい⁉︎ 佐久田さん」
「…えっ!…あ、は、はい!」

心の準備してなかった。
マネージャーはあの日以来、私のことを避けるような態度だったし、今だってすぐに視線外すくらいだから、絶対頼む訳ないと考えてた。

「このシリーズでディスプレイ変えるとイイですよね。…ミニガーデン風とか…」
< 40 / 176 >

この作品をシェア

pagetop