『私』だけを見て欲しい
「雑貨フロアの責任者、佐久田結衣(さくた ゆい)です。是非、ご協力お願いします…!」

頭を下げる。
見た目、私よりもだいぶ年下の子みたいだけど。


「ほらほら、先輩があー言ってるんだから、ノッてやって!いずれうちの番も回ってくるし、お互い様だからさ…!」

(金井ちゃん…さんきゅ!)

心の中で手を合わせた。
『れんや』と呼ばれた男性は、仕方ねーな…と名前を書いてくれた。


『滝沢蓮也(たきざわ れんや)』


「(れんや君か…)…ねっ、他にも知り合いで参加してくれそうな人いない?貴方も、一人より顔見知りいた方が楽しいでしょ⁉︎ 」

道連れになりそうな人を紹介してもらう。
こうまでしないと集まらないパーティーなんて、する意味ないと思う…。

「そうだな…じゃあまあ…その辺の女子、引っ掛けてくるか…」

バインダー持ったまま、隣の部屋へ行く。

ドアを開けた瞬間、甲高い歓声が上がった。


「何事…?」

金井ちゃんを振り返った。

「んー⁉︎ ああ…きっと、蓮也のファンの子でしょ⁉︎ あの子、何故かモテモテらしいなのよ。秘書課の子達に」
「へ、へぇー…」

あんなスーツ着崩してだらし無さそうに見えるのが…?と言いそうになって口を閉じる。

(最近の子って、趣味分かんないなぁ…)

くたびれたオジさんみたいにしか見えないのに、人気だけはあるんだって気がした…。
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